アニメ漫画など妄想・趣味など炸裂してしまう予定のページになります
小説イラストなどいろいろupしていく予定です
※以下のようなことが含まれる予定なので嫌な方は見ないでください(^_^;)
※BL、GL、二次創作的なものが苦手な人、またはこれらが良く分からない人はここから退避して下さい。責任はとれませんので…
おkって人はこんなページですが楽しんでいってください(^o^)丿
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「…何があったんだ」
赤司が屋敷に帰ってくると、庭木がなぎ倒され地面は濡れ、花弁は散乱している様だった。光樹は布団に寝かされており、身体を巻いている白い布からは血が滲み出ている。黒子も高尾も緑間も床にへたり込み、額からは汗が流れている。
「大勢の侍が光樹君を狙って屋敷に押し掛け、襲いかかってきたんです。光樹君は…僕をかばって切られました」
「黒子、なぜ光樹を戦わせた。彼はまだ幼く戦闘経験もないんだぞ」
黒子につかみかかる。黒子は何も言わない。
「せ、せいじゅーろさま。うっ」
「光樹っ」
「先生は悪くない…僕が一緒に…戦いたいって言った」
僕がここに連れてきたばっかりに光樹をこんな目にあわせた。仲間たちを守れなかった…僕のせいだ。
「無理して話さなくていい。ゆっくり休むんだ。……みんなすまなかった」
「待てっ赤司!!」緑間が言い放つ。
赤司は踵を返し、その場を後にした。
「緑間君…何を言ったって無駄ですよ。彼が僕たちの進言を聞いたことがありますか?」
高尾が緑間の肩をぽんとたたく。
「あの方を信じようぜ。俺たちの主なんだから」
光樹は遠くなる赤司の後ろ姿をじっと見つめていた。
赤司は例の男たちのところに来ていた。
「貴様っだれだ!」
「さっきは随分とうちの者が世話になった。建物を燃やしたぐらいでは分からなかったようだね」
「!!。貴様っあの小僧のところの!!領主赤司征十郎!?」
バサッ赤司の背から翼が生える。
「ばっ化け物っ」
「何とでも言えばいい。その言葉は聞きあきた。…さっさと消えてもらおうか」
赤司が地面に弧を描くように手をかざす。
「今度はこの前の火とは違う。姿もろとも溶かしつくす。紅蓮の火よ何もかも溶かしつくせ!」
火のこが少し男たちに当たると一瞬にしてズシャッと音がしたかと思えば液体と化した。そして次々と蒸発していく。
「ひぃぃぃぃいい」
「一生弔われることもなくこの世から姿を消すがいい」
赤司の瞳が炎の中で光っていた。
赤司はそのまま屋敷に戻った。着物のあちらこちらに帰り血が付着している。顔も血だらけで、足取りもおぼついていない。
「赤司…ひどい恰好なのだよ」
「組織は壊滅させた。お前たちに苦労をかけさせてすまなかった…領主失格だな」
「赤司君…僕たちは赤司君だからここまで一緒についています。苦労などしていません」
「黒子の言うとおり!俺らは好きでここにいるんだからさ」
「俺たちをもう少し信用してくれてもいいのだよ」
「感謝する。ありがとう」
赤司は着替えを済ませ光樹の寝ている寝所へ向かった。光樹は意識が戻り、傷口からの出血は止まり、顔は赤みを取り戻している。
「征十郎様っ。遠くに行かないで、行っちゃやだ…」
「光樹…」
優しく光樹の頭をなでる。この子を幸せにしたい。でも僕はそれ以上の感情も抱いている。この思いは伝えられない。胸が痛む。
「傍にいるよ光樹、ゆっくりお休み」
日が経つにつれ光樹は回復していった。赤司は結構な力を使ったらしく、横になっていることが多かった。とてとてと足音が近づいてくると、襖が少し開いた。
「征十郎さまっ」
「どうしたんだい光樹?」
「新しくテツヤ先生に教えて頂いたことがあるんです!見て頂けますか?」
「かまわないよ、やってごらん」
「ちょっとお外に出てみてください」
赤司は履物をはき、着物を一枚はおり外に出た。外は天気がよく晴天である。
光樹は空に向かって、両手をかざした。“水よ、空に弧を描け”心の中で念じる。
光樹の両手から水があふれ出し、左右に弧を描き、一気に霧になった。
「すごいじゃないか光樹」
「征十郎さま、上っ空を見て!」
赤司は空を見上げると水に光が反射して、青空に虹ができていた。
「どうですか?征十郎様!きれいでしょう?征十郎様に見せたかったんだ」
光樹がほほ笑んで赤司のほうを見て言った。
「ありがとう光樹、とても綺麗だ」
君の笑顔も青空の虹も。
「光樹…光樹はあの色の中で何色が好きなんだい?」
「えっと…」光樹は少し考えたあと言った。
「内緒です」
「なぜだい?」
「いつか話します!僕もうテツヤ先生のところに戻りますね」
パタパタと光樹は行ってしまった。赤司は新たにできた光樹との距離間を感じつつ自室にもどった。僕を喜ばそうと虹を見せてくれたに違いない、徐々に感情を取り戻している…良かった。
「光樹君、赤司君に見せられました?」
「うん、上手にできた!」
「良かったですね!赤司君喜んでいたでしょう?」
「喜んでもらえたのかな?」
「もちろん」黒子が光樹の頭をなでる。
「君は本当に優しい子ですね、敬語も上手になりましたし頑張り屋さんですよ」
えへへと光樹が頬を赤く染めて笑う。君の笑顔は何より彼の特効薬になるはずです。
その日の夜、光樹は御伽草子でも呼んでもらおうかなとわくわくして征十郎様のいる部屋に向かった。扉に手を伸ばそうとした時声が聞こえた。
「うっ…んっ」
「大丈夫かい?」
「へい…きです」
月明かりが二人の影を描きだしている。征十郎様がテツヤ先生と向い合せになって、首元に顔を近づけている。ズキッ…あれ?光樹は自分の胸が痛むのを感じた。涙が一筋流れ、その場を後にし布団に顔をうずめた。
“なんで?二人とも大好きで尊敬できて…いつもほかほかしてて…。でも…とても痛いよ…”
虹を見て笑顔になっていたあの征十郎様の顔が浮かぶ。この気持ちは何――?
「赤司君、最近無茶が続いてましたから心配してたんですよ?」
赤司は黒子に吸血をさせてもらっていたのだった。
「…すまない」
「こうなるまえにちゃんと補給してくださいね?」
赤司は力を消耗し、体力の回復に時間がかかっていたのだった。
「ああ、テツヤのおかげでかなり楽になったよ。早く元気になって光樹を安心させてやらないとな」
「変わりましたね、赤司君」
「ん?今何か言ったか?」
「いいえ、何も。ふらつきもないですし、これで失礼しますね」
「テツヤ…ありがとう」
黒子が一礼し戸を閉める。赤司君は変わりました。光樹君と出会って表情が柔らくなりましたし、笑顔も多くみられるようになりました。敵に対して容赦なく、冷酷で残酷だと恐れられた君…いいほうに変わっていっているみたいですね。
黒子の足取りは軽く、明日の光樹君の練習は何にしましょうかと考えながら足取りを進めるのだった。
赤司は光樹のことを考えていた。光樹は自分の力を受け入れ、徐々に使いこなせるようになっている。ある程度の年齢になれば自分からも離れ自立していくだろう。離れたくない思いのほうが正直強いが、あの子の将来の幸せを思うとそうはいかないだろう。自分で道を選び、切り開いていく。光樹にはそれができる。力強い瞳、それはいまも昔も変わらないのだから。
「当分の間僕にできることは体力の回復に努めることか…」
自分で声に出してみて少し吹き出しそうになったがしょうがない。あの子の笑顔を守りたい。自分が体調を悪くしていてどうするんだ。
「おはよう光樹」
「おはようございます。赤司様」
「どうしたんだ突然?」呼び方が征十郎様から赤司様に変わっている…。
「僕もみんなのように強い大人になろうと思いましてっ今日から剣の稽古を真太郎さんにつけてもらうことになってるんです」
「そうなんだな…無茶はするなよ」
「はいっ」
光樹は話し終わるとすぐに家の外へ出て行ってしまった。真太郎のことだから朝稽古でもするのだろう。
はぁー
ため息をついているのは赤司である。
「ずいぶん老けこんでますね」
「ふけっ?!いや、光樹の態度がだんだんとそっけなくなってきたと思ってな。呼び方も赤司になっているし」
「子どもってそういうものですよ。いつのまにか大きくなっていろんなことを考えるようになって、背負うものの重さを分かっていくんです」
「黒子は大人だな」
「なんでそんな風に思うんですか?」
「そういう面に対しては僕より達観している気がするよ」
「そうでもありませんよ、僕はあきらめが悪いから」
「見つかったのか?」
黒子は返事をせずに、笑顔で答える。
「次に会うのがいつになるかはわからないですけど、いずれ逢いに行きます」
「そうか」
黒子には離れ離れになった想い人がいる。光樹の救出の際に声をかけられ偶然会うことができた。彼は存在感のない黒子をなんなく見つけることができる。黒子は彼の顔を見た時嬉しさを感じずにはいられなかった。その日以来、必ず彼…火神に逢いに行くと誓ったのだった。
「光樹、もう少しちゃんと腕を伸ばすのだよ」
「はいっ」
光樹は緑間に稽古をつけてやっていた。
「真ちゃーん、このへんで休憩にしようよ~」
「そうだな…光樹休憩にするぞ」
「わかりました~」
3人で地面に座り、水を飲む。
「そーいえばさ、光ちゃん、なんで最近赤司のこと様呼び?」
びくっと身体がふるえる。
「僕もちょっと大人になりたいなと思っただけ」
「呼び方だけで大人になるの?」
「…えと、その…」
光樹は下を向き言葉を濁した。
「高尾、そんなに問題のあることではないだろう。大人になりたいというのならそれはそれでいいのだよ」
光樹が上を向くと何か言いたげな和成がいたが光樹はなにもいわずに水を飲み干した。
「稽古ありがとうございました!僕はこれでしちゅれーしますっ」
ッ盛大に噛んだ!!光樹は恥ずかしさでいっぱいになりそのままその場を走り去って行った。
高尾が腹を抱え笑いたいのを必死でこらえるように口を手で押さえて身体を震わせている。
「誰だって噛むことくらいあるのだよ。あと…高尾」
「何?」
「その目で何か見えたのか?」
「べっつに~見えていたとしても光樹の問題かな」
「そうか」
「聞かないの?」
「お前がそう判断したのなら聞く必要はないのだよ。光樹は自分でこれから歩いていかなくてはならなくなるのだから」
「優しいね真ちゃん」
高尾が緑間の背中によりかかる。
「俺はその呼び方のほうを変えたほうがいいと思うのだよ」
「絶対、変えてやんなーい」
その辺は高尾のほうが子どもなのだよ…頭を少し抱える緑間だった。
恥ずかしいよぅ光樹は顔を赤くして水辺に来ていた。強いひとになりたいのにこんなんじゃまだまだだな…
赤司様…呼び方を変えただけでもより特別な人だと意識してしまう。最初は分からなかったけど領内でもかなり偉い人で本当は僕が逢うことすら叶わないような人なんだ。僕を助けてくれて叱ってくれて…あの方をお守りしたい。テツヤ先生に「赤司様のことを考えると胸がきゅっとなって逢いたくて仕方なくなるんです。なんでなんですか?」と尋ねた。テツヤ先生はきょとんとしたあと笑顔になって「恋ですよ」と言った。
「恋?」
「切ないまでに深く思いを寄せることですよ」
「テツヤ先生はそんな人いるの?」
そう光樹が言うと黒子は頬を少し赤らめ「います」と答えた。
「近くにいた時は分からなくとも遠くに行ってしまって気づくこともあります。光樹君は後悔だけはしないで下さいね」
光樹は自分のこの思いが恋なのだと初めて知った。大切な、守りたい人…赤司征十郎様。顔が少し赤くなる。先生はそんな僕を見て微笑んだ。
「光樹君の幸せを僕はずっと祈っていますよ」
「僕にあの方を守れるだけの力をください。僕もそのための鍛錬を頑張ります」
光樹は大きな杉の木に手を添えながら言った。サワサワサワ…光樹の思いにこたえるかのように風が吹き葉が揺れる。月日がたち光樹は15歳になった。以前に比べ背も高くなり、たくましく成長している。光樹は木の太い枝に登り木々の間をかけていく。地面ではなく空をかけていくのはいつぶりだろう。そうか、赤司様と逢って間もないころ、屋敷から出て行こうとしたのを止められたあの時ぶりだ。あの時はこんなふうに飛んでいてもただ苦しいだけだったのに今は身体だけでなく心も軽くなった気がする。これもテツヤ先生たちのおかげだ。でも…別の痛みがある。あの夜の出来事はなんだったの聞きたいけど聞きたくない。あと、なんで僕を助けたのとか聞きたいこともたくさんある。いつか尋ねてみよう。強い人に赤司様を守れる人になってからそれまでは胸にしまっておこう…大好きな二人だから。
「へっ?うわっ」パキパキパキっ!どしゃっ。
考え出すときりがなくついぼんやりしてしまっていたのだろう。光樹は思い切り足を滑らせ地面に落ちた。
「っつう…」
仰向けになる形で地面に倒れる。打ちどころが悪かったらしく頭がくらくらする。額に手を当てると血がべっとりとついた。
あっちゃーぱっくり切っちゃった。早く止血しないと…光樹は片手で傷口を抑えながら血止めを探す。
「あった!」
ヨモギの葉をすり潰し額に当て上から大きめの葉をあてつる性の植物で巻き応急処置をした。
「今日はもう帰ろう」
本当はいつものように走って帰りたいが全身が痛いし、血が流れていくせいで貧血気味になりあえなく徒歩で帰ることになり屋敷に帰りついたのは日がすっかり暮れてからだった。皆心配しているだろうなと考えつつ、屋敷の入口にたどり着くとそこには赤司様が立っていた。
「心配したんだよ」そう言って光樹を抱きしめ、額に触れる。
光樹の格好は傍から見てもひどい有様で頭には葉を巻きつけ服は泥まみれ、顔は流れ出た血で汚れている。
「ごめんなさい。木から落ちて…切ってしまって歩いて帰っていたら遅くなりました」
安心したのか光樹の体から力が抜け、赤司が身体を支える。
「光樹っ大丈夫か!?」
ドクンっ。
赤司は自分の中の吸血衝動が湧き上がってくるのを感じた。まずい…このままでは光樹の血を吸ってしまう。しかし赤司の腕の中にはしっかりと光樹の身体が収まっている。衝動を止められないっ。
「光樹っ離れっ…」力を振り絞り声に出したが光樹は気づかない。
赤司が光樹の額に巻いてあった葉を取り傷口をなめる。光樹の身体がピクっと動く。そして赤司の舌が首筋を伝い、首の付け根に牙を立てた。
「いたっ赤司様?!」
薄れかけていた光樹の意識が痛みとともに覚醒した。腕に力を入れ、身体を離そうとするが流した血のせいか吸血されているせいか力が入らない。
「あっ…赤司さ…ま…。ふっ…ん」
何だろうこの感じ。初めての感覚に光樹は頭が働かない。血を吸われるたび痛みと身体の芯の部分が疼くのを光樹は感じた。赤司は反対側の首筋にも牙を立てた。ぴりっという感覚の後に甘美な感覚がわいていく。赤司様だからかな…なぜだろう?嫌じゃない。一度は覚醒した光樹だったが吸血されたせいで余計に貧血になり赤司が正気に戻るころには気を失っていた。
「ごめん、ごめん光樹っ」
自分の腕の中で眠る光樹の首筋に残る二か所の傷跡。これはまぎれもなく自ら光樹につけたものである。僕が屋敷に連れてこなければこんなことにはならなかったはずだ。後悔の念がつのる。吸血は基本的に血を吸いさえすれば生気を回復させることができるのだが思いを寄せる相手ならよりその効果が発揮され心身ともに回復する。大好きな光樹、君だけは傷つけまいと思っていたのに…赤司は光樹を抱きしめ拳を握りしめた。赤司の光樹に対する思いは始めは命を助けてもらった恩返しで父親が子を見守るような感情であったが一緒に生活を共にしていくうちにこの笑顔を一人占めしたいという独占欲が湧いてきた。日に日に光樹が感情を取り戻し、笑顔を見せるたび愛しさが募っていったのだった。家族として過ごさないといけないという思いと自分のモノにしたいという独占欲が葛藤するようになっていった。きっかけは光樹が切られたことだった。頭に血が昇り冷静ではいられなくなった。こんなことは今までになかったのだ。
光樹は布団の中で目が覚めた。
「ん」
目を開くとそこには赤司の姿があり、思わず起き上がろうとするが頭がくらくらし起き上がれなかった。赤司が光樹に布団をかけなおす。
「光樹、そのままでいい。聞いてほしいことがある」
「はい」
赤司は光樹に自分は吸血鬼であること、たびたび満月の日に吸血衝動が起きること、血を黒子などの仲間に吸血させてもらうことがあること、血を吸えないときは椿で生気を補充していることを話した。光樹は赤司の眼を見て真剣に話を聞いていた。
「愛しい相手だと余計に衝動が抑えられなくなるんだ。光樹…僕は君のことが…ずっとずっと前から好きなんだ」
光樹は胸が熱くなるのを感じた。ズキズキと痛んでいたのに今は鼓動が速くなり頬が赤くなっている。しかし光樹には不安があった。赤司様は家族として僕のことが大切なだけで特別な感情は持っていないのではないのだろうかと。それに今は赤司様を守れるような強さを持っていない。僕は守られる存在より大切なものを守れる人になりたい。それまでは自分の思いに蓋をしてでも成し遂げると決めていた。以前赤司が光樹の将来を考え行動していたように光樹も赤司とは違う形で決意を固めていたのだった。
「話して下さってありがとうございます。僕も家族として大好きです」
気持ちを偽ることは割と慣れているほうである。今だって笑顔でやり過ごせたはず。施設にいた時もそうだった、そうしなければ生きていけなかった。光樹がそういうと赤司は光樹の上半身に覆いかぶさるようにして、光樹の顎を少し引き上げ唇を重ねた。
「!? ふっ…ん」
舌が光樹の口の中に入っていき、舌を絡めながら口腔内を満たしていく。光樹は初めての接吻に驚きうまく息ができずにいた。
「ぷはっ」
唇が離され、光樹は空気をいっぱいに吸う。
「光樹…僕が言っている好きはこういう好きなんだよ。光樹の思っているような綺麗な感情じゃない。それは分かってほしいんだ」
以前の光樹なら自分の気持ちに気づいていなかったが今は違う。この感情が恋なのだということを自覚している。赤司様の言っていること分かります、愛しい愛しい大切な人だから…だから今はまだだめなんです。
「分かっています。けれど今は…その想いに答えることはできません」
そっと赤司の頬に自分の手を重ねる。赤司は目を細め己の手をそれに重ねた。
「光樹…」
赤司様の告白からしばらく経ったある日気分転換に一緒にどうですかとテツヤ先生が赤司と光樹を外へ連れ出した。
「いってらっしゃい~」と高尾と緑間が笑顔で見送る。辺り一面の銀世界。人々が歩いた跡が残っていく。黒子は待ち人に逢いに行きますとその場を後にした。
「綺麗ですね」
光樹は言った。赤司は無言で景色を眺めている。雪玉を投げて遊ぶ子ども達。僕もこんなふうに遊びたかったと考えながら眺めていた。思い出したくない幼少時代。あの地獄のような日々から救い出してくれた大切な人たち。
「あの…」女の人が赤司に声をかけた。
「どうしました?」赤司が答える。
ざしゅっ。雪の上に血の雨が降った。
「っう君はなっ…」
「夫の敵っ」
女が隠し持っていた小刀で赤司のわき腹を引き裂いたのだ。光樹は素早く女の背後にまわり首に手刀をしたあと拳で思い切り腹を殴った。女が前のめりに倒れる。赤司もぐらっと地面に倒れた。
「赤司様っ赤司様!!」
「どうやら油断していたみたいだ。すまない光樹…ごほっ」吐血する。
傷口から血が溢れだしていく。赤司は最近血を吸わなくなっており、治癒能力が極端に落ちていた。その分吸血衝動が起きにくくなっていたのだが…今回はそれが裏目にでた。光樹は赤司の腰にあった刀を引き抜き自分の腕を引き裂いた。
「やめっ光樹!!」
「つぅ…この血を飲んでください。赤司様」
口元に赤く染まった腕を押しつけるようにする。赤司は辛そうな表情をしたあと、腕に噛みついた。
「うっ」吸血されるにつれ身体の力が抜け、息が荒くなる。寒さに体温も奪われていく。次第に赤司の顔に赤みが戻り、光樹とは逆に呼吸が安定していった。
「良かった…うっ」
光樹が振り向くと先ほどの女の人が光樹の背を刺していた。前のめりに光樹が倒れた。
「光樹っ光樹」
自分を呼ぶ声がする。
「癒しの力を使うんだ光樹っ!!」
赤司には傷を癒す力はない。でも光樹の持つ癒しの力ならば助かることができると考えたのだ。しかし、赤司は知らなかった。癒しの力は自分には使えないことを…。赤司が光樹を抱き起こし、光樹は笑顔を見せる。目の前が暗くなっていくのを感じた。薄れゆく意識の中で光樹は赤司に言った。
「赤司様…そこにいるんですよね」
「いるよここに」光樹の頬に触れる。
「いつか…また逢うその日まで待っていてくれますか…?」
「僕はずっと光樹のそばにいるよ。一緒に家に帰るんだ、光樹っ」
「大好き…大好きです征十郎さま。どうか幸せで…」
涙がとめどなく溢れる。僕は少し笑顔を見せ、眠りについた。ひどく眠いんです。赤司様ごめんなさい。そして光樹は息を引き取った。二人を刺した女はいつの間にか消えていた。
「光樹っ」
赤司が光樹を抱きしめる。冷たくなった光樹を抱え屋敷に戻った。そして春になったら綺麗な草花が咲く小さな丘に光樹を埋めた。3人で線香をたてた。
「憎しみは憎しみしか生まない。分かっていたはずなのにな…敵を討ったとしても光樹が戻ってくるわけではないんだ。この思いはどこにぶつければいい」
赤司は拳を地面をなぐる。
「今日くらい泣くのだよ。赤司」
皆が赤司の背をぽんとたたく。
「たくさん泣いて、明日から光樹君の分まで生きましょう。彼が経験出来なかったこと、今度また逢えたならその時伝えましょう。僕たちは幸せだったよって」
うっくひっくうっ…赤司を取り囲む仲間たちの姿がそこにはあった。すすり泣く声が辺りに広がる。
「光樹、僕は必ず君と出会う。そのために生まれてくる必ず」
ピーピーピー電子音がする。
「君はいつまで眠っているんだい?」
どこか遠くで声が聞こえる。えっ今僕は寝たばかりだよ…?重い瞼をゆっくりと上げると無機質な白い壁、窓から差し込む光、そしてどこか懐かしい綺麗な紅い髪を持つ少年がそこにいた。電子音はどうやら胸に付けられている心電図モニタの音だったらしい。
「あっああああ赤司?!なんでここにっ。いだっ何…?」
なんかデジャブ。頭と足がズキズキと痛む。
「無理に動かないほうがいい。傷にひびく」
「うーん。えっと…そうか朝学校に行って…黒子たちに逢って…車が来て」
「車にはねられたんだよ。良かった、記憶はあるようだね。君はいつも僕をハラハラさせる」
ん?なんかおかしくないか?いつも……?
「え…?」
光樹は赤司の方へ首をかしげて見ていた。すると赤司が光樹の頬にキスをした。
「!!」
これは夢なのか?夢だよな!!だってあのオヤコロな赤司がおっ俺にキッキキキキスなんて!ほっぺだけど!あわわと頭の中が混乱する。
「君は目を離すといつもこうだ。もう離さないからな。……お帰り光樹」
あれ今まで俺はどんな夢見ていたっけ?赤司…赤司…征十郎さま、紅い髪の綺麗なそして強い…ん?今まで見ていた夢が走馬灯のようによみがえってきた。
「俺は…僕はそうか征十郎様に逢うために…」
涙が一筋、光樹の瞳から流れた。赤司がそっと光樹を抱きしめる。
「夢じゃないんだよ」
温かい…触れられて話すことができる。愛しい、愛しい人。
「赤司…征十郎さま?」
「うん」
「征十郎さまっ」
「うん」
「ずっと…ずっとお会いしたかった」
「僕もだよ」
しばらくお互い抱き合ったまま時を過ごした。鳥のさえずりが外から聞こえる。
「記憶が君に戻るのをずっと待っていたんだ。と言っても僕の記憶が戻ったのも最近だけどね」
そう赤司は言い、君の記憶が戻るきっかけが交通事故だなんてやめてほしい限りだと心底ため息をつきながら言った。
「そういえば…」
「?」
「光樹の記憶が戻ったら聞こうと思っていたことがあるんだ」
「なんですか?」
「以前虹を見せてくれた時のことなんだが…光樹は虹の中で何色が好きなんだい?」
光樹は少しはにかんで赤司の耳元でそっと呟いた。
“紅です”
あなたの色だからと光樹が続けると赤司の頬が桜色に染まっていった。光樹の目が覚めた知らせを聞いた誠凛の仲間たちが何やら入り込めないオーラを出している二人に驚いたのはいうまでもない。
過去と未来。想いが強ければ夢を現に変えることもできるのだ。光樹と赤司を結んだ縁のように実は気づかないだけで大切な人は身近にいるのかもしれない。
―終―
思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを (小野小町・古今集恋二・552)
想いながら寝たのであの方が夢に現れたのだろうか。夢と分かっていたら目覚めなかったのに。
※続き背後注意です
…後日談
「光樹」
「何ですか?」
「この世界ではまた新たに一緒になれたわけだし、呼び方を変えないか?征十郎様では他人行儀のようだし…」
光樹と赤司は長い休みを利用して逢うようになっていた。ここは京都の甘味処。二人で抹茶アイスを食べている。
「でも…なんて呼べば…」
「征」
「ふぇっ?」
「せいって呼んで光樹」
「…うぅ恥ずかしいですよ…今までずっと様をつけて呼んでたのに」
「あと、ため口で話そう」
「ええっ」
光樹はアイスを片手に持ちながら、下を向き足をもじもじさせている。
「だめかい?」
赤司は光樹をじっと見つめる。征十郎様ずるい…僕がこういうのに弱いの知っているのに。光樹は顔を真っ赤にさせながら言った。
「せせせっせ征!これでいいだろ」
まさか言ってくれるとは思っていなかったから赤司の顔も真っ赤になった。机に突っ伏す。
「~~~!!」
「どうしたの?征?大丈夫?」
「…ごめん。僕も徐々に慣れるよ」
そう?と言いながら光樹が首を傾ける。破壊力が強すぎる、それに何この上目づかい反則だろう。可愛いよ光樹。気づけばアイスが溶けて、光樹の指に垂れている。ぺろっと赤司がそれをなめる。
「?!なななななっ何するんですか!」
「敬語に戻っているよ、光樹」
「なんだよ~征!」
光樹もこうなったら自棄である。顔を真っ赤にさせて声を上げる。
「声が大きいよ、光樹」
そう言いメニュー表で二人の顔を見えないようにして、自身の唇で光樹の唇を塞ぐ。
「んっ」
「店内では静かにね?」
目を見開きあわあわと光樹は口を動かしている。……征十郎様のいじわる。光樹はぽつりと言った。
それ逆効果だからね、光樹。ニコッと笑い、赤司は心の中で呟く。
「さてアイスも食べ終わったことだし、もう行こうか」
「どこに?」
「僕の家に決まっているじゃないか」
「?!それはちょっと…」
「嫌なのか?無理にとは言わないが…光樹に見てほしいんだ。それに」
赤司は言葉を続ける。
「きっと喜んでくれると思う」
僕が喜ぶ…?
「そこまでせせ征が言うんだったらいくよっ」
赤司が笑顔になり光樹の頭をなでる。
「よくできました。ちゃんと言えたね、お互い徐々に呼び方に慣れていこう」
「…せっ征は昔みたいに僕を子ども扱いしてる」
「…さぁ少し歩くことだし行こうか」
なんとなく話を逸らされた感が否めないが光樹は赤司に手をひかれ家に向かった。手を握っている間心臓が早鐘を叩いていた。
「ここだよ」
「ここは…一緒に住んでいたあの屋敷」
「僕も記憶が戻った時はびっくりしたよ。所々修復している部分はあるがほぼそのままだ」
光樹は庭園に向かった。あの八つ橋…テツヤ先生と一緒に力の制御の練習に使っていた場所だ。
「黒子も緑間、高尾も昔から知っている仲だったんだ…別の時代だけどそれぞれの道を歩んで、バスケを通じてまた巡り逢うことが出来たんだね」
「そうだよ光樹。僕たちはまた再び会うことができた、僕たちの人生はここからまた始まるんだ。」
「言っていて恥ずかしくないですか…征十郎様」
「本当のことだからそんなことはない」
くすっ光樹は笑う。先生に助け出されてから僕の人生は変わった。素直になるって難しいけど、後悔だけはしないでくださいと言ったテツヤ先生…もとい黒子の言っていた意味が今ではよくわかる。この人ともう離れたくない。喧嘩して、泣いて、笑って、年をとってそんな人生を送りたい。もう逢えなくなるなんて嫌だ。格好つけていたってだめなんだ。
「根本は変わってないのかもしれませんね」
「何が変わってないんだ?」
「好きって気持ちですよ」
「~~~~っ」
「どうしました?」
「今晩は覚悟していてほしい光樹」
「へっ?」
「我慢の限界だ」
夜、夜風が心地よく吹き満月の明かりに寄って部屋窓から光がさしほんのりと部屋の中が照らされる。
「決心はついたかい光樹」
「決心も何も…動けないです。征十郎さま」
光樹は赤司に馬乗りにされている状況で、風呂上がりで浴衣を着ている。屋敷の中を逃げ回る光樹を捕まえ、着なれない着物を着て転びかけた光樹を赤司が抱えこの部屋に連れてきた。部屋の中の電気は消されている。
「僕の言うことは?」
「…ぜったい」
「んっ」
出来ればこんな場所で聞きたくなかった。あの時以来だなあ。今のセリフを聞いたのは…光樹が考えているうちに赤司が光樹の両腕を一つにまとめ、唇を塞ぐ。口、肩、胸、腹と唇を落としていく。光樹はぎゅっと目を瞑っている。身体がぷるぷると震えている。赤司は口での愛撫を続けながら、光樹の下肢に手を伸ばし、光樹自身に触れる。
「あっ…やっ…」
ゆるゆると手でしごいていく。最初は緊張で固まっていた彼自身が徐々に立ち上がってきた。
「気持ちいい?光樹」
「やっわかんな…ふっ…んっ」
手でしごく速さを速めていく。「んっん…あっやっ…やぁ…んっ」
ぴゅっと白濁があふれる。
「はぁはぁ」光樹の全身が脱力する。赤司が光樹の身体をひっくり返す。
「ふぇ?」
「もっと気持ちよくしてあげるからね」
光樹の後孔に指を入れる。
「?!」
指を徐々に進ませていき入れる指の数を増やしていく。光樹は突然与えられた異物感に耐えていた。
「ふっつぅ……はぁ…ん?!っぁああ!」
「ここか」
赤司は光樹の感じやすい場所が分かるとその場所を執拗に攻める。光樹は与えられすぎる快楽に意識を持って行かれそうになっていた。
「やめっ…そこっ…ばっかりぃ…あっああああっ」
光樹は生理的な涙を流し、二度目の白濁を出していた。はあはぁ…全身が弛緩する。
「光樹、大丈夫か?」
優しく汗で張り付いた前髪を赤司が横に流し、光樹の唇に優しくキスをする。
「は…い」
かすれ気味の声であったが光樹は赤司に返事をした。赤司は光樹を向かい合うように膝の上に抱えた。そして光樹を少し持ち上げ光樹の後孔に自身を沈めていく。2回も性をだしたからか、赤司が思っていたよりも弛緩しており、すんなりと侵入していった。
光樹が赤司にぎゅっとしがみつく。
「ふっんんんっ。あっあっこれ以上入らな…ん…征十郎さまっ」
「せいだよ。光樹…言ってごらん」
「征っ…んやあっ」
光樹の中で赤司の雄が大きくなる。腰の動きを徐々に速めていく。
「んっ」
「やっ…んっあぅ」
「光樹…」
耳もとで赤司がつぶやく。
「!!」
恥ずかしさですでに真っ赤になっている光樹の顔がますます赤くなっていった。光樹の両手はすでに自由になっていたので、光樹は両手で顔を隠した。
「顔見せて」
「嫌っ…です」
腕をどけようとする赤司に光樹はあらがう。
「なんで?」
「恥ずかしい…です」
「こんなことしているのに?」
「あっやっ…め」
ぎしっ…さらに深く挿入していく。
「大好きだよ、光樹」
「~~~~~~~っ」
君とこんなことしているなんてまるで夢のようだよ。大好きだよ、光樹。
「……も」
「僕も征のことが好きっ」
両手で赤司の身体を抱きしめる。
「征…?あっ…な…んっあぁっ…ん」
赤司が光樹の中に性を吐き出した。同時に光樹も果てる。赤司がそっと光樹の唇にキスをした。光樹は意識を飛ばしていて全身から力が抜けている。前からも後ろからも白濁が溢れている。赤司はしばらく光樹を抱きしめていたあと、光樹の体を清め、後処理を済ませてから眠りについた。
「!!」翌朝、光樹が目覚めると横で眠る赤司の姿があった。
なんで征十郎様がここにいるんだっけ…光樹は寝起きで寝ぼけながら昨晩の出来事を思い出した。そうだ、僕昨日征十郎様と…!ぼっと顔が赤くなる。
「光樹の百面相はおもしろいな」
声のする方に目を向けるとこっちを見つめる赤司様がいた。
「あっ赤司様っおおおおおおお起きてたんですかっ」
がばっと身体を起こすと腰に痛みが走る。
「いったたたたっ…」
「…無理しないほうがいいよ?光樹。ちなみに今起きた所だけど?」
…絶対嘘な気がする。顔が笑ってるもん。
「それと光樹」
無言でこっちを見つめている。
「言えば…言えばいいんでしょ。征!これでいい?」
僕としてはもう少し甘ったるい朝を想像していたんだが…まあいいか。恋人のこんな顔を真っ赤にした表情を一人占められるんだから。赤司は光樹の前髪をかき分ける。
「可愛いよ光樹」
「~~~~~っ」
「もう少しこのままでもいいかい?」
光樹は無言で頷く。赤司は光樹を抱きしめ、短い眠りについた。
◆最後まで読んで頂いてありがとうございます 読み返してみると色々恥ずかしいです(-_-;)
当初の予定としてはこんな殺伐としたものではなくほのぼのぴゅわな話を書きたかったのにどうしてこうなった…
そういう話を読むのは好きなんですがシリアスに走ります(汗)和風もの好きです
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